機織姫を探して…

今、私はひとりの姫を探しています。 その姫と…私は伊豆の山ですれ違ったようです。 …それからいろいろなことがつながり始めました…

画家・三橋節子さんの『湖の伝説』

 

私の京都への染織勉強も終わり…しばらくして…。

滋賀県立近代美術館で染織の先生の展覧会があったので友人と行くことになり…その友人が美術の先生だったので「滋賀に行くなら、『三橋節子美術館』にも寄ってみたい」という話しになったことがありました。

 

「ああ、三橋節子さん…」私もとても懐かしく思いました。

昔、中学生の頃でしょうか…家の書棚に、梅原猛さんの『湖の伝説』という、その画家の三橋節子さんという人について書かれた本がありました。

読んでみると…その絵も、その節子さんの人生も、心を打つものがあって…その後も私は印象に残っていたのです。

 

私も久しぶりに三橋節子さんの『絵』を見たくなって…そしてそんな美術館があったのならぜひ行きたいと…旅行を計画しました。

 

 

…その『三橋節子美術館』は、琵琶湖のほとり、「長等山」の中腹にありました。

 

「長等山」といえば「壬申の乱」。近くには「三井寺」や「大友皇子」の御陵もあります…ちょうど歴史も調べ始めていた頃でもあったので…私はその偶然にも驚きましたが…。

 

久しぶりに「三橋節子」さんを思い出して、その「絵」を久しぶりにみて…中学生のときに感じたものとはまた違うものを感じました。

 

…私も母になり、子どもを想う気持ちもわかるようになったからか…

…いや…なんといえばいいのだろう…

それだけでなく…何かもっと、根源的なものを揺さぶられるような…

 

初期の頃の作品もいいのですが…病気のため利き腕を切断した頃からの作品は、美しさとともに凄みが増していきます。

最期は、近江の伝承をもとにした作品を描きますが…幼い我が子を残して逝く自身のかなしみやせつなさも投影されていて、よりいっそう深いものになっていきます。

 

中学生の時にその本で出逢ってから…何十年も経っているのに心に残っていて…

そして大人になって再び出逢う機会があり…不思議なものです。

 

 

…そしてまた、今こうして「機織姫」を探し、古代の歴史について考えていると…

再び、思い出して…

もう一度、本を読み直そうと、梅原猛さんの『湖の伝説』を手に取ると…

 

「あ!」

 

驚きました。今、私が考えていることの…そのことが…象徴的に絵の中にありました。

 

 

なぜ、そう描かれているのだろう…。

伝承をもとにしているのだから、歴史ともつながるのでしょうけれど…。

それを三橋節子さんが受け取った感性で表現されているわけですが…。

今、再び、私はとても惹きつけられてしまいました…。

 

 

もう一度、その「絵」を観にいこう。

とてもとても小さな美術館。作品は一部屋におさまるくらいなのですが、ずっとそこにいたくなるような場所なのです。思い出のピアノを…少し弾かせてもらいました…。

 

 

滋賀県の大津に行くとき、「琵琶湖」や「三井寺」や「弘文天皇陵」などに行く時には、ぜひこの美術館にも寄って、「三橋節子」さんの作品を見てみてください。

 

『湖の伝説』『三井の晩鐘』『鬼子母神』『雷獣』『雷の落ちない村』『花折峠』『余呉の天女』など…(「三橋節子美術館」にはない作品もあります)

 

梅原猛さんの著書『湖の伝説~画家・三橋節子の愛と死~』も…ぜひご一緒に…。